今回は理論化学の中でも重要な位置を占める酸・塩基と中和反応について説明したいと思います。

① 酸・塩基の定義
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② 酸・塩基の強弱

 酸・塩基の強弱は、電離度(α)によって決まります。すなわち、αが大きい(1に近い)ものが強酸(強塩基)であり、αが小さい(0に近い)ものが弱酸(弱塩基)となります。
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〈捕捉①〉HNO₃、H₂SO₄以外はハロゲン化水素です。HFは水素結合により数個の分子が会合しています。したがって、水素結合に関与して会合分子(一つのかたまり)を作っている状態では、H原子は電離できませんから、電離度が小さくなるのです。
*5月号でも触れましたが、HFが弱酸であることは、会合説以外の考え方で説明されることもあります。

〈捕捉②〉上の電離度を表す式において、分母は溶かした電解質~となっていますが、塩基の場合NH₃(分子)を除くと、すべてイオン結合をしていますから、溶けた物質はすべて電離します。ですから、上の式は塩基については、少し正確さを欠いた表現になっています。したがって、水によく溶ける塩基が強塩基であると考えればよいでしょう。ちなみに、水によく溶ける塩基をアルカリといいます。

〈捕捉③〉酸・塩基の強弱は、後に学習する塩が加水分解したときの水溶液の液性に関係しますので、必ず覚えておいて下さい。